介護付き有料老人ホームやシニアマンションの共用空間は、入居された方が一日の多くを過ごされる場所です。日当たり、椅子の座り心地、スタッフの方の声かけ。運営に携わる方は、暮らしの質を左右するひとつひとつに心を配っておられます。ですが、意外と最後まで手が回らないのが「音」です。ここで言う音とは、単に「何の曲を流すか」ではありません。その音が、空間のなかでどう広がるか——つまり「音環境」を整えるという視点です。本記事では、"共用空間の空気をやわらげたい"という願いから出発して、BGMと音環境の違い、そして音を整えるという考え方までを、順を追ってご紹介します。
広い共用空間ほど、音の聞こえ方は席によって変わる
ラウンジや食堂のような広い空間では、席によって音の聞こえ方が大きく変わります。
「共用ラウンジを、もう少し和やかな空気にしたい」——施設の運営に携わる方から、よく聞くお声です。そのために、多くの方が細やかな工夫を重ねています。照明をやわらげる、観葉植物を置く、談話のきっかけになる席の配置を考える。どれも大切な工夫で、空間の雰囲気は確かに変わります。
ところが、音に関しては悩みが分かれます。しんと静まりかえった食堂では、食器の触れ合う音や、廊下の足音が際立ってしまう。かといってBGMの音量を上げると、今度はお隣との会話がしづらくなる。共用空間は面積が広く、天井の高い施設も少なくありません。スピーカーの近くの席では音が大きすぎ、離れた席では聞き取りにくい——「ちょうどよい音量」がひとつに定まらない、という難しさがあります。
その"ちょうどよさ"の鍵をにぎるのが、音環境の在り方です。スタッフの方の声かけ、ラウンジのかすかな物音。そこにやわらかな音環境が満ちていると、それらの音が角を取られ、空間全体がひとつの穏やかな空気にまとまります。静けさを保ちながら、耳ざわりな音が立ちにくくなる。その両立は、音環境を整えることで近づきます。
BGMと"音環境"は何が違う?
BGMは「かける音楽」、音環境は「空間全体の音の在り方」です。
「BGMなら、もう流しているよ」という方も多いと思います。実際、音楽を流すこと自体は、いまやどの施設でも当たり前になりました。ですが、"共用空間の空気をやわらげる"という視点で見ると、BGMを流すことと、音環境を整えることは、少し違う話です。
BGMは「どんな曲を、どのくらいの音量で流すか」という選び方の話です。いっぽう音環境は、その音が「空間のどこから、どんなふうに広がってくるか」という、もう一段広い視点です。
たとえば、天井の一点から音が降ってくると、その一点が音の発生源として際立ちます。真下の席と、離れた席とで、聞こえ方の差がはっきり出てしまう。けれど、音が空間全体にやわらかく満ちていると、どこから聞こえているか分からないぶん、音楽が"風景の一部"のように溶け込みます。同じ曲でも、広がり方が違えば、共用空間に流れる時間の質はずいぶん変わるのです。
ここで大切なのが、「音量を上げずに整える」という考え方です。空間に穏やかさを添えたいとき、つい音量を上げたくなります。けれど音量を上げれば、お隣との会話やスタッフの方の声かけが届きにくくなり、かえって落ち着かない空間になってしまうこともあります。
音を大きくするのではなく、音の"広がり方"を整える。ちょうど、冷房の設定温度を下げるのではなく、風が部屋全体にゆきわたるように空気を動かすのに似ています。強く効かせるのではなく、空間になじませる。この発想が、静けさと穏やかさが両立する音環境の土台になります。
音を"整える"という考え方
音環境という視点を形にした選択肢のひとつが「波動スピーカー」です。
こうした「音を空間になじませる」という考え方を、製品として形にしたものがあります。エムズシステムが手がける波動スピーカーです。
一般的なスピーカーは、正面に向かって音を飛ばす四角い箱の形をしています。そのため、正面に座る人と、横に座る人とで、聞こえ方が変わりやすいという性質があります。席が固定されがちな共用空間では、この差がそのまま「いつも音が大きい席」「いつも聞こえにくい席」になってしまうこともあります。
これに対して波動スピーカーは、円筒形をしています。そして音が特定の方向ではなく、360度に広がる——ぐるりと全方位へと音が満ちていく設計です。そのため、ラウンジのどの席に座っても、音の当たり方が偏りにくく、空間全体に音がやわらかく溶けていきます。

素材にも特徴があり、自然素材ならではの落ち着いた音の質感が、共用空間の空気になじみます。大きな音で存在を主張するのではなく、空間にそっと寄り添う——エムズシステムが「音のエアコン」と呼ぶ思想が、この形に込められています。
実際に選ばれている施設の例
介護施設やシニア向けマンションをはじめ、人が長い時間を過ごす空間で実際に導入されています。
波動スピーカーは、こうした音環境の考え方に共感される方々に、実際に選ばれています。介護施設やシニア向けマンションの共用空間のほか、医療やケアの場では慶友病院、たま田園心療クリニックなどでも使われています。
どの空間も、大きな音でにぎやかさを演出するのではなく、その場にふさわしい音の在り方を求めて選ばれています。「これを置けば必ずこうなる」というものではありません。あくまで、"穏やかな共用空間づくり"を考えるうえでの選択肢のひとつです。
音量を上げるのではなく、音の"広がり方"を整える。それが、共用空間の音環境という考え方です。BGMを何にするか迷う前に、その音が空間のどこから、どんなふうに広がってくるか——一度そこに目を向けてみると、これまでとは違う手立てが見えてくるかもしれません。
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Frequently Asked Questions
Why is it difficult to set a single "just right" volume level in the shared lounge of a care facility?+
When you want to add a sense of calm to a shared space, why can raising the volume sometimes be counterproductive?+
How does the atmosphere of a shared space differ between sound emanating from a single point on the ceiling versus sound that spreads throughout the entire space?+
Why are wave-motion speakers considered well-suited for shared spaces in care facilities?+
In the medical and nursing care fields, what types of facilities have actually introduced wave-motion speakers?+
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